公的医療保険の一環である高額療養費制度では、1か月あたりの医療費負担に上限が設けられています。この上限額は、収入によって異なり、申請手続きが必要です。ここでは、上限額や申請方法に加え、制度が適用されない費用について簡単に解説します。
高額療養費制度は、公的医療保険によって医療費負担が大きくなり過ぎないよう1か月単位で自己負担額に上限を設ける制度です。この上限額を超えた分の医療費は申請後に返金されます。
上限額は年齢や所得によって区分され、69歳以下と70歳以上で異なります。また、同一月内の同一医療機関での診療や、家族が別の医療機関で受けた診療費も合算できます。例えば、年収370万円から770万円の世帯の場合、1か月の上限額は「80,100円+(医療費-267,000)×1%」です。この記事では他の収入については省略をします。
高額療養費制度の対象となるのは、公的医療保険の適用範囲内の費用です。差額ベッド代、先進医療費用、自由診療、入院中の食費や生活費などは対象外です。
申請後すぐに払い戻しが行われるわけではなく、審査が行われるため、診療月から3〜4か月後の振込が一般的です。
立て替えが必要となるため、一時的に家計に大きな負担がかかることもあります。こうした負担を軽減するには、事前に「限度額適用認定証」を申請しておくのがおすすめです。この認定証を保険証と一緒に医療機関の窓口で提示することで、支払い額が高額療養費の上限内に抑えられます。入院や手術が予定されている場合や治療が長期化する見込みがある場合は、早めに手続きを済ませておくと安心です。
高額療養費の申請は、加入している医療保険へ書類を提出することで行います。郵送も可能で、必要書類には課税証明書や病院の領収書が含まれる場合があります。
世帯合算で医療費をまとめられるため、同じ保険加入者の家族がいる場合、負担を軽減できます。また、年間3回以上の高額療養費が発生すると、4回目以降は自己負担限度額が引き下げられる制度もあります。
「高額療養費があるから医療費の準備は必要ない」・・・このように考えている方も多いですが、医療費以外の支出についてはやはり準備が必要です。保険を使うなり、蓄財するなり対策をしっかりしておくことをおすすめします。