「子育てママ」からの保険相談で最も多いのが、「保険に加入しているが、内容がよく分からない。このままで大丈夫でしょうか?」という質問です。
特に更新型の保険では、10年や15年ごとに保険料が変わり、同じ保障内容でも更新ごとに保険料が上がるため、現在の状況に合った保障内容になっているかを見直す必要があります。
終身型と更新型を混同をしている人は少なくありません。更新型は保険料が定期的に上がるのが一般的です。
以下は、第一子が誕生した時(30歳)に保険に加入し、10年間(40歳まで)、見直しをしていなかった事例を見てみましょう。
お子さんの誕生時に「ご主人に万一のことがあった場合に備えて保障が必要です」と保険会社から勧められ加入した保険です。子育てに追われて2人目が生まれ、気づけば子ども達も小学生に成長していました。
当時「夫婦で話し合い、しっかり考えて加入した保険」であっても、家族構成や収入、貯蓄状況、そして今後の教育や進路などにより、現在の必要保障額は変わってきます。また、医療現場の状況も日々変化しており、古いタイプの医療保険(特約)では対応しきれない場合もあります。
まずは、ご加入の保険の仕組みをしっかり把握しましょう。
この事例の方が加入しているのは「更新型の定期付終身保険」です。これは万一の時の死亡保障に加え、入院や手術をした場合に給付金が受け取れる「医療特約」と、三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)保障特約がついた保険です。
特約が多くついている保険は「いざという時に給付を受けられるので安心」という考え方もありますが、保障が手厚い分だけ保険料が発生し、更新ごとに保険料がアップするため、経済的な負担も大きくなります。それらの特約が本当に必要かどうかを改めて検討することが重要です。
【加入中の更新型・定期付終身保険】
事例の方は30歳でこの保険に加入し、10年ごとに更新するため、保険料は40歳、50歳と更新ごとに上がります。死亡保険金の合計は5,000万円で、そのうち定期部分が4,500万円(4,000万円の定期特約と500万円の三大疾病保障特約)は60歳で終了し、61歳以降に死亡した場合は終身部分の500万円のみが支払われます。三大疾病保障特約は、死亡保険金としてだけでなく、三大疾病で所定の状態になった場合に生前に保険金を受け取ることもできます(いずれか一方のみ)。
医療保障部分は80歳までの定期特約で、81歳以降に新たに入院した場合は給付を受けられません。また60歳以降の医療特約保険料は、60歳の払込満了後、一括で支払う場合もあります。
【減額する】
保護者の必要保障額は、末子が誕生した時にピークになった後、お子さんの成長とともに減少します。ご家族は3年前にマイホームを購入し、事例の方名義の団体信用生命保険にも加入しているため、万一のことがあっても遺族に住宅ローンの返済義務は発生しません。また、学資保険や遺族年金、死亡退職金なども考慮すると、必要保障額は2,500万円程度で十分であることが分かりました。
定期特約部分を4,000万円から1,500万円に減額することで、更新後50歳までの10年間は現在と同程度の保険料で継続することが可能です。
【医療特約のみ解約し、最新の医療保険に加入する】
「入院給付が5日目からしか受けられない」「10年ごとに保険料がアップする」「60歳時点で80歳までの保険料を一括で払わないといけない場合もある」などの不安を感じていた事例の方は、現在の保険の医療特約のみを解約し、一生涯保障が続く「終身医療保険」(日帰り入院から保障・60日型・先進医療特約付)に加入することにより、今後保険料が上がることなく、総支払保険料を抑えることが可能となりました。
「更新型で保険料が上がるのが不安」「保障内容が複雑でよく分からない」という方は、まずは今の保険をしっかり把握し、それを活かす方法を考えましょう。
「更新後保険料が大幅にアップするのはイヤだから、とりあえず解約して最新の保険に変えたい!」という方もいますが、解約する前に以下の点を考えてみましょう。
- 前回加入時よりも年を重ねた今、保障内容が同程度ならば他社に変えてもおそらく保険料は上がります。
- 健康状態によっては、新しい保険に加入できない場合もあります(解約は必ず新しい保険契約が成立してから行いましょう)。
- 平成元年前後に加入された利率の良い保険の場合、安い保険料で大きな保障を得られる(お宝保険といわれる)ものもあります。
定期付終身保険の場合、主契約の「終身保険」部分以外は解約や減額が可能です。
昔しっかり考えて加入した保険でも、定期的なメンテナンスは必要です。内容が分からない場合は、保険会社に問い合わせるか、専門家に相談するなどして、その時の状況に最も合う保険を選ぶよう心がけてください。