「年収800万円なら、いくらまで住宅ローンを借りられるの?」
これは、住宅購入を考える人なら一度は気になる問いです。
銀行に言われるまま借りた結果、家計が圧迫されてしまっては本末転倒。この記事では、年収800万円の人が無理なく住宅ローンを組むための「適正な借入額」や「返済の現実」、そして**「頭金の考え方」まで、リアルに踏み込んで解説**します。
まず「理論値」から。
住宅ローンの借入額は、年収の5~7倍が目安といわれています。これをあてはめると…
- 最低:4,000万円
- 最大:5,600万円
ただしこれは、金融機関の審査を通った場合の“上限”です。
実際には「返済比率(年収に占める年間返済額の割合)」をもとに見た方が現実的。
理想的な返済比率は 20%程度。この比率だと、年間返済額は160万円(月額 約13万3,000円)が限度となります。
実際の「手取り」で考えるとどうなる?
税金や社会保険料などを差し引くと、年収800万円の手取り額は約560万円前後。
この場合、理想的な年間返済額は 112万円(月額 約9万3,300円) です。
「借りられる額」ではなく、「返せる額」をベースに考えることがポイントです。
住宅購入において、多くの人が迷うのが「頭金を入れるかどうか」。
■ 頭金を入れるメリット
- 毎月の返済額が軽くなる
- 総利息負担が減る
- 借入額が抑えられ、審査にも通りやすい
■ 頭金のデメリット
- 手元資金が減る
- 教育費や医療費などの急な出費に対応しづらくなる
実例シミュレーション(4,000万円の住宅を購入する場合)
頭金 | 借入額 | 月々返済額 | 総返済額 |
---|---|---|---|
0円 | 4,000万円 | 約13万円 | 約5,479万円 |
400万円 | 3,600万円 | 約11.7万円 | 約4,931万円 |
800万円 | 3,200万円 | 約10.4万円 | 約4,383万円 |
頭金800万円で、月々の負担は2万6,000円も軽減。
総返済額では約296万円も変わってきます。
とはいえ、「頭金3割」はあくまで目安。
教育費や老後資金、ライフプランに合わせて無理なく決めるのがベストです。
住宅ローンは金利タイプによっても返済額が大きく変わります。
金利タイプの種類
- 変動金利:金利が低いが将来的なリスクあり
- 固定期間選択型:当初数年間だけ金利が固定、その後は変動または再選択
- 全期間固定金利:完済まで金利が一定、安心だが金利は高め
変動金利(0.319%)・借入額4,000万円・35年ローンの場合
→ 月々 約10万円、総返済額 約4,228万円
全期間固定金利(1.9%)
→ 月々 約13万円、総返済額 約5,479万円
「変動か固定か」だけでも1,250万円近くの差が出ます。
将来の金利上昇リスクに備えるか、目先の支払い負担を抑えるか――。
何を重視するかで最適な金利タイプは異なります。
忘れてはいけないのが「住宅ローン控除」。
一定条件を満たすと、年末のローン残高の0.7%が13年間控除されます。
年収800万円のように所得税額が大きくなる人ほど、控除の恩恵も大きくなります。
【適用条件の一部】
- 自分が住むための住宅であること
- 返済期間が10年以上
- 床面積50㎡以上(条件により40㎡も可)
- 所得2,000万円以下 など
2024年以降は、「省エネ基準を満たす」などの要件も追加されていますので注意。
大切なのは、住宅ローンを「払っていけるのか」「子どもの進学や老後資金も残せるのか」といったライフプラン全体とのバランスです。
借入額を最大限にするのではなく、
- 頭金はどれくらいが適正か?
- 将来的に教育費や医療費はどれくらい必要?
- 今後の収入はどうなる見込み?
といった視点で設計していくことが、後悔しない家づくりへの第一歩になります。
まとめ:こんな疑問、ありませんか?
- 「変動金利で借りた人、本当に大丈夫なの?」
- 「頭金ゼロでも買えるっていうけど、実際どうなの?」
- 「住宅ローン控除って、いくら戻ってくるの?」
こうした疑問が出てきた方は、無理なくローンを組むための「家計×住宅ローン」の相談を一度してみるのがおすすめです。
将来の安心は、正しい知識と準備から。
“今しかない買い時”を逃す前に、自分の最適な住宅ローン設計を考えてみませんか?