2019年、老後生活で年金のみの収入を考慮すると、物価の上昇を反映して最低でも2,000万円の貯金が必要だと話題になり、「老後2,000万円問題」として注目されました。このため、貯金2,000万円を目標にしている方も多いと思います。しかし、実際に2,000万円を貯めている人はどれくらいで、どのようにして貯めているのかについては、明確に理解している人は少ないのが現実です。
この記事では、2,000万円の貯金がどれほど必要なのか、実際に2,000万円を貯めている人の割合、そしてそのための効果的な貯金方法について解説します。
全ての人が2,000万円を貯めなければならないわけではありません。例えば、単身世帯で年金以外の収入源がある場合、2,000万円の貯金は不要かもしれません。逆に、2人以上の世帯で老後の収入が年金のみの場合、生活水準によっては2,000万円以上が必要なこともあります。
貯金と預金の違い
「貯金」とは、ゆうちょ銀行やJAバンクなどの機関にお金を預けることを指し、「預金」は主に銀行や信用金庫に預けることを指します。この記事では両者を「貯金」として統一して説明します。
では、現実的に2,000万円を貯蓄している人はどのくらいいるのでしょうか?
ここでは、年齢別、年収別、地域別に2,000万円以上の金融資産を持つ人の割合を見ていきます。
年齢別
年齢が上がるほど、2,000万円以上の資産を持つ人の割合が増加しています。単身世帯よりも2人以上世帯のほうが、この割合は高くなっています。
年収別
年収が高くなると、2,000万円以上の資産を持つ人の割合も増加します。ただし、年収が1,000万円以上になると、単身世帯では割合が急激に減少する傾向があります。
地域別
地域によっても2,000万円以上の資産保有者の割合に違いがあります。特に、北陸地方の2人以上世帯では高い割合が見られます。
2,000万円を貯める方法として、以下のアプローチが効果的です。それぞれについて詳しく見ていきます。
先取り貯金
先取り貯金は、収入が入った時点でまず一定額を貯金する方法です。自分で引き出すのではなく、給与口座から自動的に振り分ける仕組みにしておくと、無駄遣いを防げます。貯金専用の口座を作り、キャッシュカードを使わないようにするとさらに効果的です。
家計簿の活用
家計簿をつけることで、収支を把握でき、どの部分で無駄遣いが発生しているかを見つけることができます。また、貯蓄簿を使って臨時収入を活用し、貯蓄の進捗をモニタリングすることも重要です。最近では、家計簿アプリが多くの金融機関と連携しており、クレジットカードやネットショッピングの支出も簡単に追跡できます。
家計の見直し
無駄な支出を減らすために家計を見直しましょう。特に固定費、例えば通信費や光熱費の見直しは大きな節約につながります。また、スマホやネットサービスでの有料アプリやサブスクの利用状況を再評価し、不要なサービスは解約するのが効果的です。
収入を増やす
支出を抑えるだけでなく、収入を増やすことも重要です。特に、自分の得意分野を活かして副収入を得る方法を考えてみましょう。例えば、ハンドメイドの商品を販売したり、フリマアプリで不要品を売ったりするのも一つの方法です。ただし、副収入が一定額を超えた場合、確定申告が必要になる場合があるので注意が必要です。
2,000万円を貯めるためには、単なる貯金だけでなく、資産運用を取り入れることが重要です。
投資(株式・投資信託)
貯金をただ銀行に預けているだけでは増えにくいです。そのため、投資信託や株式などに投資してお金を働かせることが必要です。特に投資信託は、分散投資が自動で行われるため初心者でも取り組みやすいです。
新NISAの活用
2024年から始まる新NISAは、年間360万円までの投資額が非課税となるため、資産形成に非常に有利です。つみたて投資枠と成長投資枠に分かれており、両方を活用することでより効率的に運用できます。
iDeCoの活用
iDeCoは、私的年金の一つで、掛け金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税です。老後資金を積立てるための有効な手段として、NISAと併用するとさらに効果的です。
変額保険の利用
変額保険は、保険料を支払いながら運用する商品で、運用結果に応じて保険金額が変動します。保険の保障と運用を同時に行いたい方におすすめですが、運用成績に応じて保険金額が変わるため、運用のタイミングや商品選択が重要です。
老後生活に必要な資金は2,000万円を目安にすると良いでしょう。貯金だけでなく、積極的に資産運用を取り入れることが重要です。NISAやiDeCoなどの非課税制度を活用しながら、長期的に運用を続けることが、2,000万円を貯める近道となります。
低金利の現代では、貯金だけでは資産を増やすのが難しいため、投資を始めることを検討してみましょう。少しずつでも、今から資産形成を始めることが、将来の安定した老後生活につながります。