人口減少が保険に与える影響とは?

2022年、日本の出生数が厚生労働省によって80万人を下回ったことが発表され、多くの人々に衝撃を与えました。出生数は2015年まで100万人を超えていましたが、わずか7年で20万人も減少しました。コロナ禍の特殊な状況も影響していますが、少子高齢化が急速に進行していることは否定できません。これからの日本の人口動態にはどのような変化が訪れ、それが保険にどのように影響するかについて考えてみましょう。

将来の人口推移は国立社会保障人口問題研究所が発表しており、2023年4月には約6年ぶりの新しい推計結果が公表されました。この推計は社会保障政策の基盤としても重要です。新しい推計結果によると、合計特殊出生率は前回の2017年推計の1.44から1.36(2070年)へと低下しました。これはコロナ禍での結婚数の減少を反映しています。一方で、2020年の平均寿命は男性81.58歳、女性87.72歳でしたが、2070年には男性85.89歳、女性91.94歳にまで約4年伸びると推計されました。これらの結果から、少子高齢化はさらに進展すると予測されます。

2008年に1億2808万人をピークに、日本の総人口は減少傾向に入りました。2023年5月1日現在の推計人口は1億2450万人で、15年間で人口が358万人減少しています。この数字は大きいものの、割合で考えると3%程度の減少です。ただし、地方では過疎化が進行しており、地域ごとに人口減少の影響を感じている地域もあります。一方、都市部では外国からの訪問者が増加しており、人口が増加しているように感じる人も多いかもしれません。しかし、2031年には1億1944万人にまで減少し、2056年には9965万人と1億人を割り込むと予想されています。このようなペースで人口が減少すると、地方の中核都市が毎年一つずつ姿を消していくかのように感じられます。

現在の少子高齢化による人口減少は、ここから加速をして30年後には1億人を割り込むこと・・・

また、前回の推計から人口減少のペースは少し和らいでいます。前回の推計では2053年に1億人を割り込むとされていましたが、今回の推計では2056年までに延期されました。これは、海外からの移民数が大幅に増加したことが影響しています(前回約7万人/年→今回約16万人/年)。

全体の人口の減少に加えて、高齢者人口は増加傾向にあります。2020年の高齢者人口は3602万人でしたが、2043年にかけて3952万人(350万人増)に増加し、その後は減少する見込みです。高齢者以外の人口、特に14歳までの人口は急減しており、2043年には1121万人に減少する見通しです。また、15歳~64歳までの人口、つまり生産人口も減少します。高齢者の数が増える一方で、生産人口は減少し、社会保障制度には大きな負担がかかることが予想されます。

これにより、社会保障の給付が縮小し、税金や社会保険料の負担が増加する可能性が高まります。したがって、保険プランを検討する際には、公的年金や健康保険、介護保険などの給付を前提とし、不足分を民間の保険や貯蓄でカバーする必要があるでしょう。社会保障の役割が縮小する中で、民間の保険や貯蓄がより重要になります。

このような人口動態の変化に伴い、保険プランも変化するでしょう。将来の寿命の延長に伴い、保険料の計算や保険の選択においていくつかのポイントを考慮する必要があります。

  1. 保険料と寿命の関係:寿命が延びると、保険料の計算において年齢や性別などの要因が変化します。この変化に合わせて保険を見直しましょう。
  2. 保険の種類による違い:定期保険や収入保障保険などの掛け捨て型保険は、死亡率の低下に敏感に反応します。そのため、死亡率が低下することで保険料も割安になります。既存の保険を新しいものと見直すことで、同じ保障内容を維持しつつ保険料を削減できる可能性が高いです。
  3. 一方、終身保険や年金保険などの貯蓄性保険は、利率の変化が大きな影響を与えます。低金利の環境下では、予定利率が低下することで保険料が高くなります。従って、昔に加入した保険の方が割安である可能性が高いです。貯蓄性の保険は、古い保険を維持することが賢明な場合があります。
  4. 医療関連の保険も死亡率の低下に影響を受けます。高齢者向けの医療保険は、生存時に支援が必要なため、死亡率の低下に伴って保険料が上昇する傾向があります。新しい医療保険が登場しているため、適切な保険を見つけるためにはメリットとデメリットを検討する必要があります。
  5. また、長寿社会においては長く働くことが必要とされ、これに合わせて保険プランも変化します。生産人口の減少を考慮して、保険の保障期間を設定する必要があります。これにより、高齢までの保障が必要とされ、保険料が高くなる可能性があります。さまざまな保険会社のオプションを比較検討し、保険料と保障のバランスを注意深くチェックすることが重要です。
  6. 最後に、社会保障制度の変化に対応するために、保険に加入する際に将来の見直し可能性を検討することも重要です。健康状態が一定の基準を満たす限り、将来の変化に適応できる条件で保険を選択しましょう。したがって、時代の変化に柔軟に対応できる保険プランを検討し、将来の不確実性に備えることが賢明です。

少子高齢化の影響によって公的な医療保険や年金が大きく見直しをされる可能性が出てくるかもしれません。そうなると、民間の保険に頼る割合は大きくなる可能性があります。

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