外貨建て保険に向いている人、向いていない人

生命保険の中には、外貨で運用される「外貨建て保険」と呼ばれる製品が存在します。外貨建て保険の性質や、どのような人に向いているかについて説明いたします。メリットと留意点を把握し、トラブルを未然に防ぎましょう。

外貨建て保険とは?

外貨建て保険とは、保険料を外貨で支払い、満期保険金、解約返戻金、死亡保険金などを外貨で受け取る保険の一種です。外貨建て保険には終身保険、個人年金保険、養老保険などの種類があります。また、米ドルや豪ドル、一部ではユーロを選択できる場合もあります。

外貨建て保険の魅力はかつて高い利率があり、貯蓄に適していたことでした。しかし、2020年以降、新型コロナウイルスの影響でアメリカなどの長期金利が急低下し、外貨建て保険は運用環境の悪化に直面しました。保険会社の一部は契約の一時停止や値上げを行いました。このため、外貨建て保険はかつてほどの魅力を失いました。

外貨建て保険とは、ドルなどの外貨で運用をするので海外の高い金利の恩恵を受けることができていましたが、今は昔ほどの魅力はなくなっています。

外貨建て保険に向いている人と向いていない人

外貨建て保険は以下のような人に向いています:

向いている人:

  • 投資目的の保険を持ちたい人
  • 資産を外貨に分散して運用したい人
  • 海外赴任などで外貨預金口座を持っている人
  • 海外旅行、留学、移住を計画している人

これらの人々は、外貨建て保険を検討する価値があります。外貨建て保険は、資産分散と貯蓄を組み合わせた選択肢であり、投資信託を避けたい人に適しています。また、外貨を既に持っている人や将来的に外貨を使用する予定がある人にも適しています。なぜなら、外貨を保有している人は為替レートの変動の影響を受けにくいためです。

一方、外貨建て保険は以下のような人には向いていません:

向いていない人:

  • 為替変動リスクを理解できない人
  • 元本割れを絶対に避けたい人
  • 解約や減額を検討している人

外貨建て保険を選択する場合、為替変動リスクが存在し、保険料の一部が外貨国債で運用されるため、これらのリスクを理解できない人には不向きです。また、解約や減額を検討している人は、解約控除が発生し、保険料の積み立てが不十分になる可能性があるため、慎重に検討する必要があります。

自分が理解できないものには手を出さないことが大事です。

外貨建て保険のメリットと留意点

外貨建て保険のメリット:

  1. 貯蓄性が高い: 外貨建て保険は、長期の国債などで運用され、高金利の国債を利用することで貯蓄性が高まります。これにより、将来の保険金や解約返戻金が増加し、貯蓄を増やすことができます。
  2. 保険料が割安: 外貨建て保険は、運用による運用収益を予測し、保険料を設定します。高金利の国債で運用できる場合、予定利率が高く設定され、保険料が割安になります。ただし、新型コロナウイルスの影響により、割安感は減少しています。
  3. 貯蓄と保障の両方を提供: 外貨建て保険は貯蓄と保障を目的とした保険ですが、外国の国債で一部運用されているため、投資性があります。外貨預金とは異なり、死亡保険金が受け取れるため、生命保険としても機能します。
  4. 為替レートの影響: 外貨建て保険は為替レートに影響を受けます。円安の場合、受け取る額が増加します。しかし、逆に円高の場合、受け取る額が減少する可能性があるため、為替レートの変動に注意が必要です。

外貨建て保険の留意点:

  1. 円高になると受取額が減る: 外貨建て保険は、外貨を使って支払いや受け取りを行うため、円高になると受け取る日本円額が減少します。これは為替レートの変動に起因します。円高の時に外貨建て保険を解約すると、元本を割る可能性があるため、注意が必要です。
  2. 諸費用がかかる: 外貨建て保険には為替手数料が発生することがあります。この手数料は保険会社によって異なり、保険料や保険金に含まれていて別途支払う必要はありませんが、交換時に発生することを覚えておくべきです。また、契約や解約、減額時などに他の諸費用も発生する可能性があるため、契約時に確認しておくべきです。
  3. 契約方法に注意: 一時払いの外貨建て保険は、為替変動リスクが高く、特に長期の保険には向かない場合があります。平準払い(月払い、半年払い、年払いなど)の場合、毎回の支払い時に為替レートが適用されるため、為替変動リスクを分散できます。長期の契約を検討する場合、平準払いが安全な選択肢と言えます。

為替変動リスクを抑える方法

外貨建て保険を通じて為替変動リスクを抑える方法をいくつか紹介します。

  1. 平準払いを選ぶ: 一時払いではなく、平準払いの外貨建て保険を選択することで、毎回の支払い時に為替レートを考慮し、リスクを分散できます。これにより、長期的な安定感を持って資産を運用できます。
  2. 為替レートの動向をモニターする: 為替レートは常に変動しており、将来の変動を予測することは難しいですが、為替相場のトレンドや過去のデータを参考にすることで、タイミングを見極めるのに役立ちます。外貨建て保険を解約する際や保険金を受け取る際に、有利な為替レートを狙うことができます。
  3. 外貨建て資産を持つ: 外貨建ての銀行口座や外国為替証拠金口座を持っている場合、保険料の支払いや保険金の受け取りに使えます。これにより、為替変動に対するリスクを軽減できます。
  4. 専門家に相談する: 外貨建て保険は複雑な仕組みを持っており、為替リスクに関する専門知識が必要です。保険アドバイザーや金融プランナーに相談し、リスクを最小限に抑えた選択肢を見つけるのが賢明です。

外貨建て保険はリスクを伴う製品であるため、契約前に注意深く検討し、リスクを最小限にするための対策を講じることが大切です。自身の金融状況や目標に合わせて、外貨建て保険が最適かどうかを検討する際には、専門家のアドバイスを受けることがおすすめです。

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