老後の資金準備はどれくらいの金額が必要なのでしょうか?高齢夫婦や単身者の平均データをもとに、公的年金だけではカバーしきれない部分について考えてみましょう。早めに公的年金や金融商品の知識を身に着け、老後に向けて今できる準備を始めましょう。
老後のための資金準備が必要な理由の一つは、寿命が伸びていることにあります。
特定年齢まで生存する人の割合は、過去数十年で大きく変わってきました。1960年、1990年、2022年のデータを比較すると、男女ともに寿命が著しく延びていることが分かります。
例えば、95歳まで生存する女性の割合は、1960年にはわずか1.2%でしたが、2022年には25.0%にまで増加しました。男性も同様に、90歳まで生存する割合は25.5%と、4人に1人が90歳以上生きる時代となっています。
長生きをするとそれだけ人生を楽しめますが、経済的な面では負担が増加することを意味します。しっかり対策を取ることが大事です。
かつて金融庁が「老後資金2,000万円問題」を提起した際、65歳以上の無職世帯の家計収支から毎月約5万5千円が不足すると報告されました。これを30年間(360ヶ月)にわたって計算すると、約2,000万円の不足額が生じることになります。
同様に、単身者の場合は毎月約4万円の不足が見込まれており、30年間で約1,500万円の老後資金が必要とされています。
ただし、後に発表されたデータでは生活費や収入が変動しており、必要な老後資金も随時変化しています。
2000万円問題はあくまで一般的な家計で計算をされたもので、あなた自身にとって必要な金額ではありません。自分自身がどうなのか計算をしてみることをお勧めします。
老後に必要な金額を考える際には、2,000万円や1,500万円という単純な数値だけでなく、自身の生活費や受け取れる公的年金額をもとに計算することが大切です。
公的年金の金額は、加入期間や支払った保険料に応じて異なります。例えば、「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、老齢基礎年金の平均受給額は月56,479円、老齢厚生年金を含めた場合の平均は145,665円です。
受け取れる年金額を確認するには、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用するとよいでしょう。
老後資金の準備には、次のような方法があります。
- 家計の見直し
生活費を無駄なく管理することが最初のステップです。外食費や固定費の見直しなど、無駄を削減し、必要な資金を効率的に貯める工夫が求められます。 - 資産運用
投資信託や個人年金保険などを活用し、長期的に資産を増やす方法を検討しましょう。 - 年金の繰下げ受給
65歳以降に年金の受給を遅らせることで、受給額を増やすことができます。1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額されるため、5年間繰り下げると42%も増えます。公的年金を後回しにして、他の資金で生活する工夫ができると、より安定した老後生活を送ることができるでしょう。
老後にかかる生活費は、独身と夫婦で異なります。総務省家計調査によると、65歳以上の単身無職世帯では月々の生活費が約13万円、高齢夫婦の場合は約22万円と報告されています。これらを基に、自身の老後生活を具体的にイメージし、必要な資金を計算してみましょう。
長寿化が進む現代では、老後の資金計画がますます重要です。公的年金や資産運用などの選択肢を活用し、今からしっかりと備えていきましょう。